2017年11月16日木曜日

生じた沈殿は a resulting precipitate? それとも a resulted precipitate?

動詞から作る形容詞には2種類あります.

1)動詞の現在分詞形を使うもの,と
2)過去分詞形を使うもの,です.

1)の例を挙げると a reducing agent (還元剤)
2)の例を挙げると the shown figure (示されている図)

では,どんな時に現在分詞形(~ing)を用いるかというと,文章にした時に,修飾されている名詞が動詞の主語である場合です.

1)の例を文章にすると An agent reduces.(薬品は還元する.)
  ここで,agentは動詞reduceの主語になっています.


一方,過去分詞形(~ed)を用いるのは,文章にした時にも動詞が過去分詞形で使われる場合です.

2)の例を文章にすると the figure is shown (図が示される.)となり,showという動詞は過去分詞形で使われています.

 この場合は修飾されている名詞 figureが動詞 showの目的語になっているとも言えます.

 I show the figure. → the figure is shown (by me)

それでは「生じた沈殿」は英語でどう言えば良いでしょう?
まず「沈殿(precipitate)が生じる(result)」という文を作ってから考えてください.




















沈殿(precipitate)が生じる(result)は「A precipitate results.」ですね.

さて,ここでprecipitateresultsの主語になっているので,

正解は「A resulting precipitate」となります.

参考:「化学英語30講」より第17講 動詞から作る形容詞


2017年11月13日月曜日

自動詞から受け身は作れない

化学英語では「受け身の表現が多用される」ということはご存知ですか?

例えば「化合物Aを合成した」という文章は

「I synthesized Compound A.」と書くよりは

「Compound A was synthesized.」とする方が自然です.

なぜか? ここで重要な情報としては「化合物Aができた」ということであって「誰が」合成したかはどうでも良いから.

明瞭(clear)で正確(correct)で簡潔(concise)であることが求められる化学英語は内容が明瞭かつ正確に伝わる限り,短い方が良いのです.

日本語では「私」を省いて「化合物Aを合成した」という文章を作ることができますが,英語では主語「I」を省けないので,物質を主語とした受け身が使われるわけです.

ところで「化学英語では受け身の表現が多用される」ということに慣れてきた方にとっての思いがけない落とし穴が「自動詞を受け身にしてしまうパターン」

それではここで質問です.
「中和反応が起こった」の英訳は次のどちらが正しいでしょうか?

A. A neutralization reaction was occurred.

B. A neutralization reaction occurred.





















答え Bの「A neutralization reaction occurred.」が正しい.occurは自動詞なので,受け身を作ることはできません.


参考)「化学英語30講」73ページ

2017年10月6日金曜日

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