ブログ「授業」で扱った文法事項が全て,さらにパワーアップして本になりました.
「化学英語30講」は来週発売されます.
文法事項の他に,リーディングとリスニングも追加.
手書きの鳥のイラストは私の自画像です(ちょっと可愛すぎ?)
ぜひ,お近くの書店で,あるいはインターネットでご覧になってください.
(朝倉書店のサイトへ)発売日10月10日
(アマゾンのサイトへ)発売日10月13日(予約受付中)
Amazon.co.jpでは海外への発送も行っています.新本(定価2592円)を選択し,発送先に海外をお選びください.
2017年10月6日金曜日
2016年8月31日水曜日
複合名詞(Noun Compounds)上級編
では、もう少し複合名詞を作ってみましょう。
例題)A screw jack operated by a machine → A machine screw jack
A process by which gold is separated from other metals. →
The product of the reaction, which is red. →
An exit designed for emergency use. →
Filters designed to process dust from air. →
解答はこのページの下にあります。
複合名詞の解答
A process by which gold is separated from other metals. → A gold separation process
The product of the reaction, which is red. → The red reaction product
An exit designed for emergency use. → An emergency exit
Filters designed to process dust from air. → Air filters
基になっている名詞(例えばA process by which gold is separated from other metalsでいうとprocess)は、頭(head)にあるので、head nounと呼ばれます。
複合名詞になったとき、head nounは変化せず、単数は単数のまま、複数は複数のままです。head nounについていた冠詞も変化せず、そのまま移動します。そのhead nounの冠詞とhead noun自身の間に、head nounを修飾する他の名詞が置かれますが、その際、前置詞や冠詞は省かれます。
複合名詞はなかなか複雑。
あらためて、詳しく解説します。
Noun Compounds、あえて日本語に訳せば「複合名詞」なのですが、日本語の「複合名詞」と完全に同じものというわけではありません。英語のNoun Compoundsは、ひとことで言えば、複数の名詞を組み合わせて、新しい名詞を作ること。あるいは、名詞句から、前置詞や冠詞などをとっぱらって、名詞だけの組み合わせにして同じ内容を表すこと。と言ってもよいでしょう。科学英語では、より少ない語数でより簡潔に、表現することが求められるので、Noun CompoundsはScientificな文章、とくに書き言葉で、大変よく使われています。
2012年9月7日金曜日
2012年7月26日木曜日
翻訳のすすめ
科学英語から少し離れるかもしれませんが、英語力を高める一つの手段が翻訳ではないかと私は思っています。
みなさんには、これまでにたくさんの「英文和訳」の経験があることと思いますが、翻訳と英文和訳は違います。
英語で書かれている「情報」をすべて日本語に移すこと。ニュアンスも含めて。
それが翻訳。
つまりその英語を英国人が読んだときに受け取る情報と同じだけの情報をその日本語を読んだ日本人に伝えること。それが翻訳だと思うのです。(むずかしいことですが。。。)
翻訳をしてみると、自分がその英文をどれだけ正確に読み取っているかがわかります。
英語の意味はわかるのだけど、どうしても日本語にならない、と思うときには、もう一度その英文を読んでみてください。わかったつもりになっていたけど、実はわかっていなかったことに気づく事も多いのです。
さて、前置きはこのくらいにして、早速翻訳にチャレンジしてみませんか?
下の文章は英国のオクスフォード大学出版局が発行した「The New Encyclopedia of Science」シリーズからとった「司法化学」という一節です。学生から一般の社会人まで、最新の化学的知識に触れたいと思う人たちを対象にしているこの本。とても読みやすくて面白いですよ。
来週、日本語訳を掲載します。
みなさんには、これまでにたくさんの「英文和訳」の経験があることと思いますが、翻訳と英文和訳は違います。
英語で書かれている「情報」をすべて日本語に移すこと。ニュアンスも含めて。
それが翻訳。
つまりその英語を英国人が読んだときに受け取る情報と同じだけの情報をその日本語を読んだ日本人に伝えること。それが翻訳だと思うのです。(むずかしいことですが。。。)
翻訳をしてみると、自分がその英文をどれだけ正確に読み取っているかがわかります。
英語の意味はわかるのだけど、どうしても日本語にならない、と思うときには、もう一度その英文を読んでみてください。わかったつもりになっていたけど、実はわかっていなかったことに気づく事も多いのです。
さて、前置きはこのくらいにして、早速翻訳にチャレンジしてみませんか?
下の文章は英国のオクスフォード大学出版局が発行した「The New Encyclopedia of Science」シリーズからとった「司法化学」という一節です。学生から一般の社会人まで、最新の化学的知識に触れたいと思う人たちを対象にしているこの本。とても読みやすくて面白いですよ。
来週、日本語訳を掲載します。
2012年1月17日火曜日
動詞が形容詞として使われるとき
コンパクトでクリアーな文章が好まれる科学英語では、関係代名詞を用いずに、動詞が分詞の形で名詞を修飾することが多々あります。
とくに一文が長くなる傾向がある論文では多用されています。
A series of nickel(II) complexes comprising N,N,N',N'-tetramethylethylenediamine (tmen), benzoylacetonate (bzac), and a halide anion (X), Ni(tmen)(bzac)Xn(H2O)(n=1~4, X= Cl, Br, I), have been synthesized.
論文のアブストラクトの最初の1行ですが、comprisingという現在分詞により5文型中最も単純な第1文型(S + V)となっています。(関係代名詞を使うと複文になる)
つまり、主部は
A series of nickel(II) complexes comprising N,N,N',N'-tetramethylethylenediamine (tmen), benzoylacetonate (bzac), and a halide anion (X), Ni(tmen)(bzac)Xn(H2O)(n=1~4, X= Cl, Br, I),
述部は
have been synthesized.
(Publicationsの「論文ダウンロード」をクリックすると全文を見ることができます)
さて、それでは動詞を形容詞として使うときに注意するべき点は何でしょう?
それは現在分詞と過去分詞のどちらを選ぶのか、ということです。
選択に迷ったときには、進行形と受動態を作ってあてはめ、文意に合うかどうかを見てみましょう。
例えば 「酸化剤」というのは「酸化する」「剤」(薬)ということなので
An agent which is oxidizing. → An oxidizing agent となります。
逆に「酸化アルミニウム」というのは「酸化された」「アルミニウム」なので
Aluminum which is oxidized. → Oxidized aluminum となります。
それでは、生じた沈殿は英語にするとどうなりますか?
「生じる」に「result」や「occur」などの「自動詞」を用いると、
A precipitate which is resulting (occurring). → resulting (occurring) precipitate
一方、「生じる」に「produce」や「generate」などの「他動詞」を用いると、
A precipitate which is produced (generated). →produced (generated) precipitate
となります。
もう一つ、気をつけたいのは、過去分詞を置く位置。通常は名詞の後に置きますが、名詞の前に置くか、後に置くかで意味が変わることもあるのです。
それでは質問です。「使用した溶媒(solvent)」。次のどちらが正しい表現ですか?
1。 a used solvent
2。 a solvent used
正解は2。
1は「使用済みの溶媒」という意味になってしまいます。Used cars(中古車)が「使った車」という意味にならないのと同じです。
おまけのひとこと。
「An oxidizing agent」は「An oxidation agent」と複合名詞でも表現できます。
「An oxidizing agent」は「An oxidation agent」と複合名詞でも表現できます。
2011年5月17日火曜日
冠詞ってむずかしいーーー「a」と「the」の違い
I am the researcherと名乗るとき
冠詞って何年やってもむずかしい。
どこで「the」を使い、どこで「a」を使うのか?
考えれば考えるほど混乱してしまう。
なんて思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、きょうは冠詞について、ちょっと考えてみました。
ふつう研究者が「あなたの職業は?」と聞かれたら、「I am a researcher.(私は研究者です)」と答えると思います。
では、いったいどんな時に「I am the researcher.」と「the」を使うのでしょう?
これはある日本人の先生から最近うかがった実話です。
その先生が若いころ外国で学会に参加されたとき、偶然有名な外国の先生方お二人とご一緒に車で会場に行くことになりました。
若い彼は助手席に、年配のお二人は後部座席に。
車が出発すると、後ろのお二人は何とその先生が最近発表した論文の話を始めたのでした。
A先生「この著者を知っている?」
B先生「いや、知らない、まだ若い人みたいだね。」
という話を聞いていた彼は、おもむろに後ろを振り返り、「I am the researcher.」(私がその研究者です)とおっしゃったとか。
いえ、礼儀正しいあの先生のことですから、ちゃんと車を降りてから丁寧にご挨拶なさったことと思うのですが、「I am the researcher.」というフレーズはまさにそういう場面にこそ、ぴったりなのです。
どこで「the」を使い、どこで「a」を使うのか?
考えれば考えるほど混乱してしまう。
なんて思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、きょうは冠詞について、ちょっと考えてみました。
ふつう研究者が「あなたの職業は?」と聞かれたら、「I am a researcher.(私は研究者です)」と答えると思います。
では、いったいどんな時に「I am the researcher.」と「the」を使うのでしょう?
これはある日本人の先生から最近うかがった実話です。
その先生が若いころ外国で学会に参加されたとき、偶然有名な外国の先生方お二人とご一緒に車で会場に行くことになりました。
若い彼は助手席に、年配のお二人は後部座席に。
車が出発すると、後ろのお二人は何とその先生が最近発表した論文の話を始めたのでした。
A先生「この著者を知っている?」
B先生「いや、知らない、まだ若い人みたいだね。」
という話を聞いていた彼は、おもむろに後ろを振り返り、「I am the researcher.」(私がその研究者です)とおっしゃったとか。
いえ、礼儀正しいあの先生のことですから、ちゃんと車を降りてから丁寧にご挨拶なさったことと思うのですが、「I am the researcher.」というフレーズはまさにそういう場面にこそ、ぴったりなのです。
ひと言で言えば「a」とあるときは日本語の「ある」(または「一つの」)、「the」がつくと日本語では「その」。
上の日本語の文章をもう一度見てみてください。
「これはある日本人の先生から最近うかがった実話です。」
この「ある日本人の先生」を英訳すれば「 a Japanese professor」と「a」がつきます。次の行の
「その先生が若いころ外国で学会に参加されたとき、・・・」
この「その先生」は訳せば「the professor」
ですから、aは日本語の「ある」、the は「その」に相当するわけです。
こう書いて行くと実は冠詞ってとても簡単なように思えると思うのですが、何故それがときに難しくなってしまうかというと、日本語の場合かならずしも「ある」と「その」をつける必要はない。前後関係で意味がわかるのであれば、単に「先生」と書くこともできる。でも、英語では必ず冠詞が必要なのです。ですから、日本人にとって冠詞は永遠の課題、と言うのは言い過ぎで、単に「慣れてない」だけのことだと思うのです。
これから英文を読んだり書いたりするときに、ちょっと冠詞に気を配るようにしていくと、冠詞って意外とやさしい、って思えるようになるかもしれません。
こう書いて行くと実は冠詞ってとても簡単なように思えると思うのですが、何故それがときに難しくなってしまうかというと、日本語の場合かならずしも「ある」と「その」をつける必要はない。前後関係で意味がわかるのであれば、単に「先生」と書くこともできる。でも、英語では必ず冠詞が必要なのです。ですから、日本人にとって冠詞は永遠の課題、と言うのは言い過ぎで、単に「慣れてない」だけのことだと思うのです。
これから英文を読んだり書いたりするときに、ちょっと冠詞に気を配るようにしていくと、冠詞って意外とやさしい、って思えるようになるかもしれません。
Temperature(温度)に冠詞はつくの?
科学英語の特徴---抽象名詞が普通名詞に変わる!
温度や圧力など、物質の性質を示す名詞は抽象名詞といって、ふつうは冠詞がつきません。例えば、「一般に化学反応の速度は温度の上昇につれて増加する」は
温度や圧力など、物質の性質を示す名詞は抽象名詞といって、ふつうは冠詞がつきません。例えば、「一般に化学反応の速度は温度の上昇につれて増加する」は
「The speed of chemical reactions in general increases with an increase in temperature.」となり、ここで temperature は無冠詞です。
ところで、「水は他の液体よりも高い温度で沸騰する」という文章は
「Water boils at a higher temperature than other liquids.」となり、temperature には不定冠詞の a がついています。
これは、温度という抽象的な概念を示す抽象名詞だったtemperatureがある一つの数値としての温度(例えば100℃とか、37℃とか)を表す普通名詞に変わったからなのです。
では、次の例はどうでしょうか?
A thermodynamic diagram with temperature as abscissa and pressure as ordinate.(温度を横軸に、圧力を縦軸にとった熱力学線図)
ここではtemperatureは圧力(pressure)と同様に、温度という抽象的な概念を表す抽象名詞なので無冠詞です。
もう一つ例をあげましょう。
Some precipitates lose water readily in an oven at temperatures of 110℃ to 130℃. (沈殿の中には110℃〜130℃の温度の乾燥器中で簡単に脱水するものもある。)この場合temperaturesは110℃〜130℃の間にある複数の温度の値(例えば110℃, 111℃,112℃,113℃など)を指しており、普通名詞になっているのです。
では、次に定冠詞をとる場合をあげておきます。
The boiling temperature of water is 100℃.(水の沸点は100℃である。)
単に沸点と言っただけではいくつもあるのですが、水の沸点と限定されるとただ一つに決まる。ただ一つしかないものには定冠詞の「the」がつくわけですね。
その他、覚えておきたい例として室温のroom temperatureがあります。
これは無冠詞で、RTなどと略されることあります。
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